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韓国、27年に犬肉食終了 法案可決、長年の習慣反対強まる


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 【ソウル共同】韓国国会は9日、食用を目的とした犬の飼育や食肉処理、料理の提供などを禁じる法案を可決した。違反者には懲役や罰金を科し、関連業者の廃業と転業を支援する。罰則などは3年間猶予するが、韓国で長く続いてきた犬肉食の習慣は2027年には終わらせる。近年は犬をペットとして飼う人が増え、動物愛護の観点から食用に反対する声が強まっていた。
 韓国では犬肉のスープ「補身湯」が夏のスタミナ料理として知られるが、近年は食べる人が減っているとされる。保守系の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の妻で愛犬家の金建希(キムゴンヒ)氏が食用反対を訴えているほか、革新系の文在寅(ムンジェイン)前大統領も動物愛好家として禁止検討に言及したことがある。法案には与野党とも賛成し、欠席・棄権を除く全会一致で可決した。
 法案は食肉処理に3年以下、食用目的の飼育や流通には2年以下の懲役や罰金を科す内容。禁止・罰則条項は公布日の3年後からの施行とし、段階的に犬肉食をなくしていく。現在従事する業者には届け出を義務付け、廃業や転業を国や自治体が後押しする。
 農林畜産食品省の22年の調べによると、食用の犬は国内約1100カ所で飼育され、食肉処理場は約30カ所、関連の食堂は約1600店ある。
 韓国の動物愛護団体は9日、「動物の権利の大きな勝利だ」と歓迎した。一方、聯合ニュースによると食用の犬を扱う業界団体は「業者の損失への補償が準備されず、議論も不足している」と反発した。