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セルフレジ 万引続発 小売業界、頭悩ませ


セルフレジ 万引続発 小売業界、頭悩ませ セルフレジの客に声をかけるように記された、トライアルカンパニーの研修用マニュアル(同社提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 客が自分で精算するセルフレジでの万引に、小売業界が頭を悩ませている。人手不足の影響や、新型コロナウイルス対策の一環として普及したが、支払ったように装う手口による被害が相次ぐ。未精算を防ぐシステムの導入や従業員による声かけなどの対策が取られており、業界関係者は「時代の変化に対応しないといけない」と話す。
 セルフレジで、購入したビールの本数をごまかしたとして、福岡県警は9月、電子計算機使用詐欺の疑いで会社員の女(26)を逮捕した。防犯カメラには、6本入りパックのうち1本分だけ精算する様子が写っていた。
 こうした被害は各地で多発。全国約290店のディスカウントストアを展開するトライアルカンパニー(福岡市)によると、万引の大半がセルフレジという。
 同社は昨年、新たなマニュアルを作成。セルフレジの客に「お手伝いしましょうか」などと積極的に声をかけるようにしたところ、未精算通過の件数が25%ほど減った。
 客がかごに商品を入れた際、バーコードを読み取るカートを2018年に導入。22年には読み取っていない商品があると、カートに取り付けたタブレット端末が音で知らせる仕組みも取り入れ、被害は減少したものの、根絶には程遠い。
 同社担当者は「万引による損失を削減したい」と強調。香川大の大久保智生准教授(犯罪心理学)は「精算し忘れたと言われると故意かどうか見極めるのは難しい。従業員が見ていると意識させ、万引させない工夫が重要だ」と指摘した。
セルフレジの客に声をかけるように記された、トライアルカンパニーの研修用マニュアル(同社提供)