沖縄県と国立沖縄自然史博物館設立準備委員会(代表理事・岸本健雄お茶の水女子大客員教授)は14日、国立自然史博物館の沖縄誘致に向けた取り組みや設立の必要性について考えるシンポジウムを名護市民会館で開催した。自然科学分野の研究者や経済界など各界からの登壇者らが議論を深めた。
岸本氏は講演で、2032年の沖縄復帰60年の記念事業として開館を目指すロードマップや誘致活動の現状を紹介。県庁の横断的なプロジェクトチームや県議会議員全員による誘致促進連盟が発足したことに触れ「県民の総意というところまで来ている」と述べた。
今後は国会での議連発足を促し、24~26年度に県や経済界を含めた県内の中核組織の設立、27年度以降に国による創設の決定と事業化を目指す。岸本氏は東アジアが自然史科学の空白地帯であるとし「人類共通の未来に関わることとして支援してもらいたい」と呼び掛けた。
県民会議発足へ取り組む県環境部の多良間一弘部長は「国への設立誘致を強化するには行政だけでなく県民が一丸とならなくてはいけない。発信も工夫し、博物館の在り方など基本構想も検討していく」と述べた。
このほか昆虫・動物写真家の湊和雄氏や知花靖国頭村長、沖縄ツーリストの東良和会長らも登壇した。会場には330人が来場した。
自然の歴史をテーマとする自然史博物館は、生物から人類学まで幅広い標本などの資料を収集・保管するとともに研究や展示・教育を行う拠点。欧米で先行し日本にはまだない。日本学術会議が長く設立を働き掛けている。
(慶田城七瀬)