ニュースで伝えてきた現場の実像はどうなっているのか。素朴な思いが決断につながった。アナウンサーの仕事を退き3月、当時4歳だった一人娘真乃ちゃんを連れ立って世界一周の旅に出た。
ニュース原稿を読み上げる毎日だった。「現場を知らない自分の言葉が視聴者の心に響いているのか」。そんな「もやもやした」思いが募っていた。新型コロナウイルス禍で一変した世界の様子も見たいとの夢も膨らんだ。「においをかぎ肌で感じ、人々と交流し五感で現場の息遣いを受け止め、伝える力を磨きたい」
7月で46歳になった人生の転機。不安はあったがベンチャー企業経営の夫が背中を押してくれた。
父が経営する私塾を大学時代に手伝い、子どもたちに日本語や英語を教える機会があった。伝え方、語り口で子どもたちの理解が深まる姿を見た。「伝える力」に魅せられてアナウンサーの道を選び山形や大阪、東京のテレビ局で活躍してきた。
欧州を皮切りに中東やアフリカ、北南米、オセアニア、アジアを回る旅。印象に残っているのは、パレスチナ自治区ベツレヘムで見た、イスラエルが設置した分離壁だ。付近でパレスチナ人がイスラエル兵に撃たれたニュースを読み上げたことがある。監視カメラ付きの自動機関銃がにらみを利かす。「対立の根深さをまざまざと見た」
新たなことに二の足を踏むタイプだった自分が挑戦する喜びを味わい、5歳になった娘も物おじしなくなった。来春帰国しアナウンサーに復帰するつもりだ。静岡市出身。
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5歳の娘と世界一周の 旅を続ける元アナウンサー 榎えのき戸ど 教のり子こさん 現場の息遣い受け止め
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琉球新報朝刊
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