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繁栄の痕跡、異形の仮面も 長江文明 世界遺産へ


繁栄の痕跡、異形の仮面も 長江文明 世界遺産へ 中国・北京、四川省成都、広漢、三星堆遺跡、成都金沙遺跡博物館、長江
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 中国が、黄河文明と同様に長江(揚子江)流域にも発達した文明があったことを示す2カ所の古代遺跡について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産への一括登録を目指している。紀元前に栄えた文明を伝える遺跡からは、異形の仮面も出土。中国の世界遺産登録数は首位のイタリアに肉薄しており、逆転も視野に入れる。
 世界遺産登録を目指すのは四川省の三星堆遺跡と金沙遺跡。2021年にタッグを組む協定も結んだ。四川地方では多様な文明を示す遺跡発掘が続いており、古代中国の解明につながることが期待されている。
 金の仮面、巨大な立像、太陽と鳥の図案の装飾―。両遺跡からは、祭祀(さいし)に関する文物が多く見つかった。造形や文様が似た出土品が多い。両遺跡と同省成都にある古代合葬地は、世界遺産の国内候補の「暫定リスト」に「古蜀文明遺跡」として一括記載されている。
 三星堆の発掘にも関わった成都金沙遺跡博物館の朱章義館長は「遺跡保護には自信がある。時間はかかるが、世界遺産登録されると信じている」と語る。ユネスコによると、国別の登録数はイタリアが最多の59、2位の中国が57と迫る。
 同省広漢に位置する三星堆遺跡は約4500年前からの文化を伝える。1986年に見つかり、新たな古代文明として注目された。成都郊外の金沙遺跡は約3200年前~約2600年前で、2001年に発見された。 (成都共同=鮎川佳苗)