アイルランドのアーティストたちによる、伝統音楽「ケルト音楽」のフェスティバルを4年ぶりに開催する。コロナ禍で中止されていた日本で唯一のフェス再開に「自由で開放感のあるケルト音楽を多くの人に届けたい」と意気込む。
大学卒業後、ジャズのレコード会社に就職した。ケルト音楽に「知識も関心もなかった」が、18世紀のアイルランドを舞台にしたスタンリー・キューブリック監督の映画「バリー・リンドン」(1975年)で、音楽に魅了された。「苦難の歴史と不屈の魂が、独特の哀愁を生み出していた」
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84年に、現在も代表を務める音楽制作会社「プランクトン」を設立。91年にはアイルランドのバンド「ザ・チーフタンズ」の初来日公演を手がけた。だが、当時の日本でケルト音楽はほとんど知られておらず「日本盤のCDは1枚もなかった」。
その後、徐々に日本でもファンが増え、98年からは音楽フェス「ケルティック・クリスマス」を開催してきた。ケルト音楽の魅力は「常に開かれていること」。家庭や酒場など、場所や時を選ばずに誰もが音楽に加わり、楽しみを共有する。「渦巻きのように展開する音楽に、時間を忘れてしまう」という。
これまでに50カ国以上のアーティストを日本へ招いた。「世界中のどこにも、土地に根差した音楽がある。多様性こそが面白い」。音楽の業界に入って半世紀。当初から抱いてきたその思いは変わることなく、世界の音楽を愛し続けている。和歌山県出身、71歳。