同性パートナーがいる女性や、シングルでの子育てを希望する未婚女性が海外の精子バンクなどを利用し提供精子で妊娠後、産科で妊婦健診や出産受け入れを拒否される事案が複数起きているとして、性的少数者らが運営する一般社団法人「こどまっぷ」(東京)などが7日、国に対応を求める要望書をこども家庭庁に提出した。提供精子利用の在り方を巡る法整備がない中、一部の医療機関が受け入れに慎重になっている可能性がある。
要望書を受け取った、こども庁の高橋宏治審議官は「妊娠の仕方がどうあれ、産科が診ないということがあってはならない」と述べ、国として近く周知文書を出し是正を図る考えを示した。こどまっぷ共同代表で、同性パートナーと共に子育て中の長村さと子さん(40)は、提出後の取材に「受け入れ拒否の背景には『同性カップルが提供精子で子どもをもうけるなんて』といった一部の医療従事者の偏見、無理解がある」と指摘。「すべての女性が安全に産科医療を受けられるようにしてほしい」と早期の体制整備を訴えた。
こどまっぷによると(1)同性パートナーがいる女性が、海外の精子バンク利用による妊娠を理由に医療機関の倫理委員会の審査対象となり「同様の妊娠・分娩(ぶんべん)管理の経験がない」として出産の受け入れを拒否された(2)未婚女性が、提供精子による体外受精を実施した不妊治療クリニックの紹介状がないことを問題視され、妊婦健診の継続は困難と言われた―などの事案を今年に入って把握。
他にも知人男性の提供精子で妊娠し、妊婦健診に通っていた女性が、立ち会い出産の手続きでパートナーが同性だと明かすと、健診継続や出産の受け入れを断られたといったケースも報告されているという。
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同性カップルの妊婦拒否 産科 提供精子巡り、複数例 こども庁、是正要請へ
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琉球新報朝刊
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