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形ないもの守る面白さ 弁護士から最高裁判事に就任した 宮川美津子(みやがわ・みつこ)さん


形ないもの守る面白さ 弁護士から最高裁判事に就任した 宮川美津子(みやがわ・みつこ)さん 弁護士から最高裁判事に就任した宮川美津子さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 実家は街の小さな電器店。法曹界とは無縁の環境で育った。最高裁判事への就任に「現実とは思えない」と重責を感じつつ「支えてくれた家族や友人への感謝を忘れず、さらに努力していきたい」と意気込む。

 東大法学部を卒業後、1986年に弁護士登録。大手法律事務所で、上司から与えられた著作権などの知的財産に関する仕事に魅了された。

 「人間が生み出した創作、発明といった形のないものを守る難しさと面白さを感じた」。三菱自動車の社外取締役や日弁連知的財産センター委員長などの要職を歴任。知財分野のエキスパートとしてキャリアを重ねた。

 海外での職務経験から「日本の裁判所への評価は非常に高い」とする一方、米国では法廷がテレビ中継されることもあり、国民と司法の距離の違いを実感することも。日本で進む裁判手続きのデジタル化は「司法にアクセスしやすくなり、裁判の運用を見直す機会になる」と関心を抱く。

 仕事と趣味が相まって、流行の映画や舞台、音楽、テレビ番組などのチェックは欠かさない。最近は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を映画館で5回ほど鑑賞。歌舞伎や文楽にも造詣が深い。合理的、論理的な分野の仕事とは対照的に「非現実的な内容が、いい気分転換になる」と笑う。

 座右の銘の一つに「謙虚にしておごらず、さらに努力を」を挙げた。就任に当たり友人に教えられた京セラ創業者の故稲盛和夫さんの言葉だ。夫とペルシャ猫2匹と暮らす。愛知県出身、63歳。

(共同通信)