事業所の入り口に並べられた白いプランター。黄色のアフリカンマリーゴールドと、オレンジのフレンチマリーゴールドが色鮮やかに咲いている。うるま市石川にある就労継続支援B型事業所スーパーチャレンジセンターミライいしかわの玉城哲さん(54)=金武町=は優しい表情を浮かべ、花を触っていた。
同事業所は2022年5月に設立された。就労訓練として花の苗の栽培と販売をしている。ベゴニアやサルビア、アリッサムなどを種から育てる。最近では事業所自らコーヒー豆を調達し、選別、焙煎(ばいせん)まで手がけている。「石川珈琲」として販路を拡大している。
玉城さんが同事業所に通い始めたのは同年8月。病院でたまたま事業所のチラシを見つけた。以前勤めていた職場で事故に遭い、右手をけがした。複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症した。右手のしびれと燃えるような痛みが襲う。症状に直接効く薬はなく、痛み止めを服用する。カイロを手に当て温める。「痛すぎて泣くこともあります」と語る。
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=8日、うるま市石川の就労継続支援B型事業所スーパーチャレンジセンターミライいしかわ
精神的な不安定さもあるものの、通所者や職員との関わりが気持ちを前向きにさせている。「周りが助けてくれた。みんなに感謝している」と繰り返し話す。
管理者の比嘉光希さんは「気遣い屋さんで事業所のムードメーカー。チャレンジ精神も高い」と存在感の大きさを語る。
花の種類を勉強中だという玉城さん。小さな種から芽が出てくる様子に感動するという。
「花の種類を聞かれたら答えられるようにしないとね」。そう言って再び花に触れた。
(渡真利優人)