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パワハラ、過重業務訴え 宝塚俳優急死 遺族、謝罪と補償要求


パワハラ、過重業務訴え 宝塚俳優急死 遺族、謝罪と補償要求 宝塚歌劇団の俳優の女性が急死した問題で、記者会見する遺族代理人の川人博弁護士=10日午後、東京都内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の俳優の女性(25)が9月に急死した問題で、遺族の代理人弁護士が10日、東京都内で記者会見し「過重な業務や上級生劇団員のパワハラによって心身の健康を損ない、自殺に至った」と訴えた。「将来ある女性が命を奪われたことは極めて重大だ」と強調。今後、歌劇団や運営する阪急電鉄と話し合った上で、謝罪と補償を求めるとしている。
 遺族はコメントを発表し「常軌を逸した長時間労働で極度の過労状態に置きながら、見て見ぬふりをした」と歌劇団を批判。パワハラの加害者と共に責任を認めてほしいと訴えた。歌劇団の広報担当者は取材に「大変重く受け止め、ご遺族に誠実に対応してまいりたい」と話した。
 代理人の川人博弁護士によると、女性は入団7年目で宙(そら)組に所属。2023年度から下級生劇団員のまとめ役となり、演技指導や衣装の準備といった業務に追われ、睡眠は1日3時間ほどの日が続いた。稽古中、上級生に呼び出され「下級生の失敗は全てあんたのせいや」「うそつき野郎!」などと怒号を浴びたという。
 21年8月に上級生からヘアアイロンを額に当てられてやけどを負い、この件が23年2月に週刊誌で報道された際、歌劇団側は事実無根との声明を発表。川人弁護士は、女性が被害に遭ったと何度も説明したのに、歌劇団側から一方的に否定され、精神的負荷を受けて体調を崩すようになったと主張している。
 労働時間に関しては、23年8~9月に約1カ月半の連続勤務をし、亡くなるまでの約1カ月間の時間外労働を推計すると「過労死ライン」を大幅に超える約277時間に上った。形式上は歌劇団と出演契約を結ぶフリーランスだが、指示に従う立場で事実上の労働契約だと川人弁護士は指摘。歌劇団に安全配慮義務があったとしている。