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捜査書類、住所不記載に 最高検通知 被害者保護強化へ


捜査書類、住所不記載に 最高検通知 被害者保護強化へ 犯罪被害者などの個人情報別紙集約の運用
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 供述調書や実況見分調書といった捜査書類に犯罪被害者や目撃者の住所などを記載せず、「集約捜査報告書」と呼ばれる別紙にまとめる運用を拡大するとの通知・通達を、最高検と警察庁が出していたことが14日、関係者への取材で分かった。被害者らの保護を強化するのが狙い。今回の運用変更で、捜査書類を証拠開示した際のマスキング(黒塗り)のミスで、被害者らの個人情報が加害者側に漏れる事態を防げるとしている。
 関係者によると、黒塗りの作業に時間がかかることも考慮し、捜査書類に記載する個人情報を最小限に抑える。集約捜査報告書も開示の対象になり得るが、煩雑な黒塗り作業は必要ないため、ミスは起こりにくくなる。この運用は従来、性犯罪を中心に実施されていた。6月に高検と地検、都道府県警に出された通知・通達によると、書類送検されず刑事手続きを終える微罪処分事件を除いて対象とし、少年事件や交通事件も含めた。
 さらに被害者だけでなく、情報提供者や目撃者、通訳人などについても同様に捜査書類から住所、電話番号、家族関係、職業などの情報を除外し、集約捜査報告書にまとめることにした。
 被害者らの氏名と年齢、容疑者や共犯者の個人情報は従来通り捜査書類に記載する。
 法務省の関係者は「犯罪の立証に必要な場合、引き続き被害者らの個人情報も捜査書類に記入する。例外もあり得る」としている。
 被告側が検察側の立証に対抗する「防御権」を確保するため、刑事弁護に詳しい弁護士らは今回の運用変更が情報の非開示につながらないよう求めている。
 5月には、性犯罪などの被害者の個人情報を加害者に知られないようにするための改正刑事訴訟法が成立。氏名や住所などを省いて逮捕状・起訴状の「抄本」を作成するなどし、逮捕から判決確定まで、刑事手続き全体で秘匿できる手続きが定められた。