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母乳バンク認知度上がらず 低体重で生まれた新生児に提供


母乳バンク認知度上がらず 低体重で生まれた新生児に提供 母乳バンクについてどのくらい知っているか
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 寄付された母乳(ドナーミルク)を低体重で生まれた赤ちゃんに提供する「母乳バンク」について、名称も内容も知っているという母親は26・9%だったことが、子ども用品メーカー「ピジョン」(東京)の調査で分かった。調査は2020年から毎年実施し4回目。前年の29・7%から「ほぼ横ばい」(同社)で、認知度の向上が課題だ。
 国内でドナーミルクが必要な新生児は年間5千人と推計される。母乳は、低体重児がかかりやすい病気の罹患(りかん)率を抑える効果が国内外の研究で確認されている。
 今年の調査は6月、妊娠中か2歳以下の子どもがいる20~40代の父母にウェブ上で実施。1032人から回答を得た。
 うち母親は516人が回答。母乳バンクに関し「聞いたことはあるが内容はよく知らない」206人(39・9%)、「聞いたこともなく内容も知らない」171人(33・1%)だった。名称も内容も知っている母親の方がドナーミルクの利用に抵抗感が少なかった。
 母乳バンクは1500グラム未満で生まれた赤ちゃんに母親が母乳をあげられない場合に利用。ドナー登録した別の女性の冷凍保存された母乳を医療機関の要請に応じて発送し、新生児集中治療室(NICU)で与える。低体重児にとって粉ミルクは消化する際に体に負担がかかりやすく、母乳が最適な栄養とされ、医学的にドナーミルクが必要かどうか医師が判断する。
 国内では日本母乳バンク協会と日本財団母乳バンクがそれぞれ運営し、22年度は計約800人に提供した。今年6月には藤田医科大病院(愛知県豊明市)に3カ所目が設置された。
 ピジョンはウェブ上で母乳バンクの紹介動画や、利用者の体験談などを載せた「ドナーミルクご利用家族向け・情報Book」を公開。担当者は「今後は特に産前の父母への啓発に力を入れたい」としている。