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在日ヘイトも「言論のうち」 杉田氏強弁「意見尊重を」 公明幹部も杉田氏に苦言 「真摯に向き合って」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党の杉田水脈衆院議員は、在日コリアンへの憎悪をあおるヘイトスピーチとして知られる「在日特権」論に関し、言論の自由の範囲内だとする見地から、一つの「意見」として「尊重」するよう求めた。11日付のX(旧ツイッター)への投稿。レイシズム(人種差別主義)をあおる差別的表現に「市民権」を与えるための強弁と受け取れる。強い批判を招きそうだ。
 「在日特権」は、在日コリアンが「隠れた特権」に基づき日本人を虐げているとの趣旨の偏見と悪意に基づく言説。インターネット上で拡散しており、差別デマだと非難される。杉田氏は投稿で「特権が『ある』という人と『ない』という人、両方が存在します。であるならば、両方の意見を開陳する機会は均等に確保されるべきです」と指摘。「相手の意見を尊重し、言論と言論でやり合うのが正しい姿だ」と述べ、「在日特権」を建設的な意見として認めるよう呼びかけた。
 人道に反する主張を世論に受け入れさせようとする動きとしては、英国の歴史家アービング氏が劇場型裁判を通じてユダヤ人虐殺否定論の浸透を図ろうとした例が知られる。2000年4月、右派層から人気があった親ナチスのアービング氏は敗訴し、司法から歴史を曲解する人種差別主義者と認定された。
 杉田氏は4日付の投稿で「在日特権」は「存在する」と書き込み、共同通信が10日付記事で報じた。これに対して杉田氏は、11日付投稿で「ヘイト扇動と決め付け、黙らせようとする報道機関があることに大変驚いています」と反論した。
 公明党の高木陽介政調会長は15日の記者会見で、アイヌ民族や在日コリアンを巡る言動で札幌、大阪両法務局から人権侵犯を認定された自民党の杉田水脈衆院議員に「問題に真摯(しんし)に向き合っていただきたい」と苦言を呈した。杉田氏には、自民内からも説明責任を果たすよう求める声が出ている。