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新制度名称「育成就労」へ 外国人技能実習見直し 有識者会議提言 転籍、最長2年制限案も


新制度名称「育成就労」へ 外国人技能実習見直し 有識者会議提言 転籍、最長2年制限案も 外国人材受け入れの経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 外国人技能実習・特定技能両制度の見直しを検討する政府有識者会議が15日開かれ、事務局が技能実習に代わる新制度の名称として「育成就労」を提示した。同じ業務分野で職場を変える「転籍」について、就労開始から1年で認めるとした従来方針を原則としつつ、業界側の要望があれば、就労開始2年まで認めないことも可能とする修正案を示した。転籍が容易になると、条件の良い都市部へ人材が集中しかねないとの声に配慮した。
 技能実習は、発展途上国に技術を伝える「国際貢献」を掲げたが、実態は労働力の確保手段として利用されてきた。新制度は「人材育成・確保」を目的とすることを踏まえ、名称を検討した。
 転籍に関し、一定の技能や日本語能力があり、就労開始1年を超えれば本人の希望に応じて認めるとの要件は維持。当面の間は受け入れる産業分野ごとに、転籍が可能となる時期を、2年を上限に定められるとした。業界の意見を聞き、政府が判断する。
 新制度は技能実習と異なり、外国人を労働力と位置付けて受け入れる。労働者の権利確保の観点から、技能実習では原則認められなかった転籍をしやすくする方向で検討されてきた。ただ転籍を認めると、賃金格差などを理由に地方から都市部へ人材が流出するとの懸念があり、自民党内からも「1年では早過ぎる」などの指摘があった。
 事務局によると、15日の会合では、転籍の要件修正について賛否が分かれた。有識者会議は引き続き議論し、年内に最終報告をまとめる方針。政府は報告を受け、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。
 
 技能実習と特定技能 外国人技能実習制度は、発展途上国への技術移転・人材育成を目的とする外国人研修制度を補う形で1993年に始まった。2023年6月末時点で実習生は約35万8千人。特定技能制度は19年、労働力不足に対応し、即戦力の外国人を受け入れるため創設。12分野を対象に最長5年働ける1号と、熟練技能を要し、家族の帯同が認められ事実上永住も可能な2号がある。政府は23年6月、2号の対象を2分野から11分野に拡大した。