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調査側に関連企業役員/宝塚俳優急死/報告書、揺らぐ信頼性


調査側に関連企業役員/宝塚俳優急死/報告書、揺らぐ信頼性 記者会見する宝塚歌劇団の木場健之理事長=14日、兵庫県宝塚市
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 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の俳優の女性(25)が急死した問題で、歌劇団が14日に公表した調査報告書を手がけた大阪市の弁護士事務所に、歌劇団を運営する阪急電鉄のグループ企業の役員が所属していることが17日分かった。
 歌劇団の木場健之理事長は調査を始めた10月の取材に「歌劇団、阪急電鉄とはこれまで接点のなかった弁護士事務所だ」と説明。女性が所属していた宙(そら)組の俳優4人が聞き取りを辞退したことも、インターネット上で“炎上”している。調査の公正さや信頼性が揺らぐ事態で批判を浴びそうだ。
 調査は「大江橋法律事務所」が担当。所属の石原真弓弁護士が2016年から、阪急阪神百貨店の親会社「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」の社外取締役で監査等委員を務めている。
 歌劇団は17日、取材に「(H2Oは)歌劇団や阪急電鉄とは独立した企業」とした上で、石原弁護士は調査報告書の検討、作成には関与していないと回答。「事務所内でも情報遮断措置を取ったと聞いている」とした。
 阪急電鉄も同様の談話を出した。
 歌劇団側は調査報告書を基に、遺族側が主張するハラスメントなどの存在を「確認できなかった」と結論。14日の記者会見で木場理事長は、宙組の俳優66人のうち4人が聞き取りを辞退したと明らかにし、理由は「ご容赦ください」と詳しい説明を避けた。
 遺族代理人の川人博弁護士は同日「劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している。調査したのは日弁連が定めた『第三者委員会』ではなく、外部と言っても(歌劇団、阪急電鉄の)顧問弁護士ではないに過ぎない」と批判。
 歌劇団は17日、宙組の東京宝塚劇場公演を初日の25日から12月14日まで中止すると発表した。