県社会福祉協議会は20日、社会的孤立の解消と福祉課題への対応を進めるTHANKS(サンクス)運動県民福祉講演会を那覇市の県総合福祉センターで開催した。福祉・教育関係者を中心に約150人が参加した。社協や県は同運動や「ヤングケアラー」をテーマに説明。社会福祉士で公認心理師の黒光さおりさん=写真=による講演もあった。
黒光さんは、兵庫県尼崎市の小中学校と兵庫県立の高校でスクールソーシャルワーカーを務めている。ヤングケアラーだった自身の体験と、当事者支援を続けている現在の状況を踏まえ、支援体制のあり方について課題を提起した。
ヤングケアラーが報道を通して注目されている中で、当事者であることを本人や家族に伝える行為や、チラシやアンケートを配布することは相手の気持ちを傷つける可能性があり危険と指摘した。「子どもたちに自覚を促して助けを求めさせることは大きな間違い。ヤングケアラーという名前を付けられたい子どもはいない」と強調した。
その上で「児童生徒本人ではなく、家族そのものを支援することが求められる。自分の家族を喜ばせる人には心を開いてくれることがある」として、当事者の気持ちや実態に合わせた支援の工夫が必要であることを述べた。 (渡真利優人)
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当事者家族 支援強化を ヤングケアラー、課題提起
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琉球新報朝刊