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<ひと>中止になった夏の甲子園の 復活イベントを企画した 大武優斗さん 失ったものに終止符を


<ひと>中止になった夏の甲子園の 復活イベントを企画した 大武優斗さん 失ったものに終止符を 中止になった夏の甲子園の復活イベントを企画した大武優斗さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

新型コロナウイルスの感染拡大で高校野球の夏の甲子園大会が戦後初めて中止となった2020年から3年。大舞台でのプレーを夢見た約700人の元高校球児が一堂に会し、聖地で白球を追うイベント「あの夏を取り戻せ」を企画した。
自身も甲子園を目指した元球児。小学1年から野球を始め、「勉強は二の次」で高校3年まで練習に明け暮れた。
感染症が猛威を振るった20年5月、リモート授業で在宅中にニュースで夏の大会中止を知った。「頭が真っ白になって受け止めきれなかった。その瞬間の記憶はほとんどない」。使い込んだ野球道具を遠ざけるほど衝撃は大きかった。
昨年夏、同世代の球児が前に進めるきっかけをつくるために大会開催を思い立ち、ツイッター(現X)のアカウントを開設。「新聞社やテレビ局に片っ端から電話をかけ、1人で企画を売り込んだ」という行動派だ。
メディア報道をきっかけにうねりが起き、出場を希望する元球児らからも連絡が届くようになった。クラウドファンディングで集めた資金と、全日本空輸など大企業の協賛によって開催に道筋を付けたが、営業活動は手弁当。「親にも支援を受けている」と笑う。
イベントは大半の都道府県から元球児チームが参加し、11月29日に甲子園球場で開幕する。「自分にとっては野球だったが、コロナ禍で失ったものに終止符を打つような動きが広がれば」と願う。大学では起業家を育成する学部に所属する、東京都出身の21歳。