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ハワイ入国審査 国内で 邦人観光客の回復狙う


ハワイ入国審査 国内で 邦人観光客の回復狙う 米ハワイ州ホノルル・ワイキキビーチ沿いのカラカウア通りを歩く観光客ら=17日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米ハワイ州が新型コロナウイルス禍で激減した日本人観光客の回復を目指し、日本で米入国や税関審査を済ませて到着時の手続きを不要にする仕組み作りに向け日米の入管当局と協議していることが分かった。入管機能がないハワイ各島の一部空港に日本から直行便を受け入れてアクセスを向上させ、州経済の活性化を図りたい考え。来日したグリーン州知事が21日までに共同通信のインタビューで明らかにした。

州、日米政府と協議
 マウイ島は8月に100人超の死者・行方不明者を出す山火事に見舞われており、グリーン氏は「復興本格化のためにも観光客増加は不可欠だ」と強調した。
 州によると、コロナ禍前の2019年1~9月は日本から約117万人がハワイを訪れたが、23年同時期は約38万人にとどまる。米国内などからの来訪数に比べて回復が鈍く、グリーン氏は「円安や若者の旅行への関心低下」を理由に挙げた。
 日本からハワイ各島に行くには玄関口であるオアフ島のホノルル国際空港経由が一般的。入管手続きを日本国内で済ませば入国時の混雑緩和につながり、国際線受け入れ体制が十分ではないマウイ島など他島への直行便就航にも道が開く。
 同種の仕組みは02年のサッカー日韓ワールドカップ(W杯)の際に日韓間で実施されたことがあるが、国外で行う入国審査の実効性確保などで米側には懸念があるとみられ、実現は入管当局の判断次第となる。
 19年1~9月の日本からの旅行者の消費額は約16億5千万ドル(約2450億円)だった。グリーン氏は「日本からの観光客は文化への造詣も深く、最高の顧客だ」と語り「日ハワイ間に行き来が容易なルートを作る」と意気込んだ。
 山火事を巡り、グリーン氏は「住民は立ち直りつつある」と日本の支援に謝意を表明。住宅確保やがれき撤去、復興計画策定に「年単位の時間が必要」との見通しを示し、観光客を呼び込み経済再生につなげたいと話した。

 ハワイの観光産業 ワイキキビーチやダイヤモンドヘッドといった観光名所のある米ハワイ州で、観光は州内総生産の1~2割を占める主要産業。日本人の間でもハネムーンなど個人のほか、団体の旅行先として人気を集めてきた。新型コロナウイルス禍前の2019年は過去最高の約1040万人(うち日本人約157万人)が訪れ、約177億ドル(2兆6千億円)を消費した。コロナ禍で落ち込んだ客数回復が課題。