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大相撲九州場所で敢闘賞を受賞した 一山本大生(いちやまもと・だいき)さん 役場職員から勝負の世界へ


大相撲九州場所で敢闘賞を受賞した 一山本大生(いちやまもと・だいき)さん 役場職員から勝負の世界へ 大相撲九州場所で初の三賞となる敢闘賞を受賞した一山本大生さん(代表撮影)
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公務員出身の異色力士が1年納めの土俵を沸かせた。188センチ、150キロの体を生かした押し相撲で一時は単独トップに立ち、幕内自己最多の11勝。「人生で一回は取ってみたい」と狙っていた三賞を見事に射止めた。
小学2年で相撲を始めた。地元北海道の大野農高、強豪の中央大で鍛えたが、角界入りは「全く考えなかった」。卒業後は北海道福島町役場に就職。教育委員会の仕事に携わりながら、町内の相撲教室で子どもたちを指導していた。転機は2016年。国体成年個人で16強に終わり、負けん気に火が付いた。「子どもたちが頑張っている姿にも刺激を受けた」という。当時23歳。同年に格闘技経験者らの新弟子検査の年齢制限が25歳未満に緩和されたことで角界への道が開け、元大関若嶋津が師匠だった前身の二所ノ関部屋に入門した。
こつこつ番付を上げ、21年名古屋場所で27歳の時に新入幕。厳しい勝負の世界に身を置き「あと何年相撲をできるか分からない。世間とのずれをなるべくなくしたい」と昨年4月に1人暮らしを始めた。家事はお手のもので、作り置きができる筑前煮が得意料理だ。
しこ名は中大関係者から「9画がいい」と勧められ、名字に「一」を冠した。改名も考えたが、18年5月にその人が死去。「お世話になった方に頂いた名前。このまま頑張ろう」と決意した。元関脇で現在幕下の若隆景のファンを公言し、座布団などグッズを集めるほど。「いつか幕内で対戦したい」と心待ちにする。本名山本大生。30歳。