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守れうまい棒、専用ケース 大阪・アクテック 「粉々の悲しみ」させまい


守れうまい棒、専用ケース 大阪・アクテック 「粉々の悲しみ」させまい うまい棒の専用ケースを手にする「アクテック」の芦田知之社長=21日、大阪府枚方市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 スナック菓子の「うまい棒」がいつの間にか粉々に―。もうそんな経験はさせまいと、大阪府枚方市の町工場が専用のアルミケースを開発し話題を集めている。うまい棒1本12円に対して価格約2万円だが、予想を超える78人の買い手が付いた。ふるさと納税の返礼品にもなり、地元の盛り上げ役になりそうだ。
 開発したのは、精密機器を収納するケースなどを製造する「アクテック」。昨年10月、会議での社員の発案がきっかけとなった。「孫がうまい棒をもらって帰ってきたが、バッグの中で粉々になって悲しんでいた。ケースを作れないか」
 会議は「本気で作ったら面白いかも」と盛り上がり、その場で制作が決まった。ケースは鍵付きで縦約20センチ、横約10センチ。うまい棒がぴったり1本収まるサイズで、軽乗用車にひかれても壊れない頑丈なつくりだ。
 当初売り物にすることは考えていなかったが、取り組みを知った千葉県の町工場から購入を打診された。「ニーズがあるのなら」と、同社は6月からクラウドファンディングでの販売(既に終了)を始めた。
 11月からは枚方市のふるさと納税の返礼品にも選ばれ、寄付金額9万9千円と11万円で、異なったケースのデザインが選べる。
 開発したアクテックの芦田知之社長(46)ですら「中身より高価なケースなんてあり得ない」と笑う。一方、「物づくりは楽しいという原点に立ち返ることができた。この面白さを伝えることで、製造業の担い手を増やしたい」と意気込んだ。