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新人王とMVP 同時受賞した 村むら上かみ 頌しょう樹きさん 危機感胸に「思い切り」


新人王とMVP 同時受賞した 村むら上かみ 頌しょう樹きさん 危機感胸に「思い切り」 プロ野球セ・リーグの最優秀新人と最優秀選手に選ばれた阪神の村上頌樹さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 4月のプロ初勝利から10勝を挙げ、最優秀防御率のタイトル獲得と、一気に駆け上がった。セ・リーグの最優秀新人(新人王)と最優秀選手(MVP)を同時受賞。「光栄な賞なのでうれしい。セ・リーグでは初なので名を刻めたのはよかった」と喜びを語った。
 昨季まで1軍登板はわずか2試合。「好きな野球を失いたくない」。危機感を胸に臨んだ3年目。「緊張して力を発揮できなかったら後悔が残る。思い切りぶつかって打たれたら仕方ない」と考え方を変えたことが、好結果につながった。今季初先発した4月12日の巨人戦では、速球主体で大胆にストライクゾーンで勝負した。七回まで一人の走者も許さない快投を披露。以降は先発に定着した。
 奈良・智弁学園高では、3年春の選抜大会で、エースとしてチームを初優勝に導いた。進学した東洋大でも活躍。ドラフト上位候補と目されていたが、4年秋に右前腕を故障した。「野球ができない時期が続いて、人生で一番しんどかった」
 不安を抱えて迎えた2020年のドラフト会議。5位で指名してくれたのが阪神だった。「けが持ちの僕を拾ってくれた。活躍して恩返ししたい」との思いが、今でも腕を振る原動力だ。幼少期から応援してきたチームを38年ぶりの日本一に導き「充実した1年。最高です」と感慨を込めた。
 趣味はアニメ鑑賞。バレーボールを題材にした漫画がお気に入りで、グラブには好きなせりふを刻んでいる。25歳。兵庫県出身。 (17面に関連)