有料

PFAS、欧州では随時規制 環境省の担当者「できる対策から」 沖縄で技術者向けセミナー


PFAS、欧州では随時規制 環境省の担当者「できる対策から」 沖縄で技術者向けセミナー  副島正睦氏
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 発がん性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)に対する関心の高まりを受け、県建設環境コンサルタンツ協会(平良辰二会長)は11月28日、環境測定や分析などを行う技術者ら向けにセミナーを開催した。環境省水・大気環境局環境管理課PFAS対応チーム課長補佐の副島正睦氏が国内での取り組みについて紹介した。

 セミナー当日、政府はPFASの一種「PFHxS」を生物に蓄積し身体に影響を及ぼす恐れがある「第1種特定化学物質」に指定する政令を閣議決定した。副島氏は、PFASが1万種以上あることに触れ「欧州では随時規制が入っている。全体を意識していく時代だ」と述べ、有害性について「実際にはまだ分からないところがあり、不確実性はあるが、できる対策から進めることが大事だ」と話した。

 副島氏は防衛省在籍時に日米地位協定の環境補足協定の締結などに事務方として関わった経歴がある。2015年の締結後、20年に米軍普天間飛行場の泡消火剤が大量に流出した事故が発生した時に、初めて協定に基づく立ち入りが実施されたことなどに言及した。

 県内では米軍基地周辺の地下水や湧水から高濃度PFASが検出されていることに「従来の基地問題に加え、PFASの影響で環境問題も絡み、(除去など)動きにくい状況があると思う」との見方を示した。

 講演後は、清水建設の土壌環境事業部・調査計画部の青木陽士部長と琉球セメント環境事業部の宮城幸一次長が登壇し、汚染除去技術について事例発表もあった。清水建設は、水中に含まれるPFASを微細気泡に付着させ、泡沫(ほうまつ)とともに回収する浄化技術を開発したことを紹介。室内装置で実験後に県内でも実証実験を行ったことも報告した。

 琉球セメントでは、セメントを製造しながら廃棄物処理し、燃料や原料の代替としてリサイクルする過程で、1450度の高温焼却の技術を活用してPFASを含む泡消火剤の処理をしていることを紹介した。

 (慶田城七瀬)