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県女性の翼~ベトナム研修報告~ (上) 新垣 亜矢子 (豊見城市) ベトナムから課題が見える


県女性の翼~ベトナム研修報告~ (上) 新垣 亜矢子 (豊見城市) ベトナムから課題が見える 女性の翼・新垣亜矢子
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 かつてはフランスの植民地であったベトナムは想像以上に都会で、うわさ通りに多くのバイクが路上にあふれ、人の多さで活気に満ち、経済成長を感じる刺激的な街でした。特に、戦争で、家族を守るために軍人になった女性の存在は国を発展させる原動力になっていると感じました。
 今回訪れた政府機関であるベトナム女性連合の存在は、女性の政治参加を活発にしています。国会議員の3割が女性であり、政府に対して意見を言える素晴らしい環境が構築されていました。また、貸し付けなどさまざまな女性支援も行われていました。規模は違いますが、沖縄県女性の翼が目指す女性支援や抱える課題が同じで、女性の翼の今後の活動に期待が募りました。
 国立フン・ブオン産婦人科病院、ジェトロ・ホーチミン、戦争証跡博物館、ベトナム女性博物館、ベトナム女性連合、NEWTATCO社、ハノイ国家大学外国語大学などの視察研修とハノイ沖縄県人会との交流を行いました。
 今回のほとんどの訪問先の説明で共通するキーワードは「教育」と「人材育成」でした。ベトナム政府が国の発展のために、人材育成に力を入れていることを感じました。
 しかし、日本へ人材派遣しているNEWTATCO社の意見交換で、事前に日本語やマナーを学び、日本へ派遣しているが、受け入れ先の日本でのパワハラが原因で実習生が失踪し、社会問題になっている現実があるとの説明を受け、申し訳なさで苦しくなりました。受け入れる日本の社会は、ベトナムのことを学んでいるのか疑問に思いました。認識不足と自分の国が優位だという思い込みをなくし、お互いが気持ちよく人材交流できる環境を構築することが必要だと感じました。
 発展途上国ベトナムの力強さは50年前の日本です。経済自立を目指し、人々が勢いを増しているベトナムは、日本を追い越す勢いがあるそうです。現在、先進国といわれている日本は生活保護・貧困世帯への支援などが手厚くなればなるほど国民の自立ではなく、依存心が強くなっているのではないかと感じました。
 ベトナム研修を通じて今後、日本の国力を上げるためにも、教育・人材育成・貧困対策は生きる力を身に着ける施策が重要だと改めて強く感じました。
 最後に、女性の翼40期との議論は刺激的で、さまざまな視点から語り合える素晴らしい時間を過ごすことができました。このご縁を人生の糧にできるよう、今後も女性の翼40期として絆を強め、大きく翼を広げていきたいと思います。
 県女性の翼の第40期海外セミナー「ベトナム視察研修」が9月15~19日に行われた。コロナ禍の影響で4年ぶりに実施された海外研修で学んだこと、活動する上で参考になった点などを参加者が報告する。