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元理事長「自白を強要」/日大背任損賠訴訟で主張


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本大の付属病院を巡る背任事件で損害を受けたとして、大学側が田中英寿元理事長(76)=所得税法違反罪で有罪確定=らに計約11億1300万円の損害賠償を求めた東京地裁の訴訟で、元理事長側が「捜査機関に自白を強要された。(大学側が主張の根拠とする元理事長の)供述調書は事実と異なる」として請求棄却を求めていることが3日、訴訟記録で分かった。
 元理事長は2021年、東京地検特捜部に逮捕、起訴された。取引業者からのリベートなどを税務申告せず、計約5200万円を脱税したとする所得税法違反の罪で22年3月、地裁で執行猶予付きの有罪判決を受け、後に確定した。
 大学側は、病院の建て替え工事や医療機器調達に関して元理事井ノ口忠男被告(66)らが背任罪で起訴された事件を巡り、不必要な支出で損害を受けたとして、今年3月、元理事長ら5人と背任事件に関わったとされる3社を提訴した。訴訟記録によると、大学側は元理事長の供述調書などから、脱税事件で問題となった元理事長の収入には背任事件に関する金が含まれると主張。これに対し、元理事長側は11月の準備書面で「連日の取り調べで自身の認識していない金員受領を否認したが、執拗(しつよう)に自白を迫られた」とし「『奥さんに会えないぞ』『認めないんだったら、奥さんを逮捕することになるぞ』などと何度も脅迫された」と訴えた。
 その上で「余命いくばくもない妻と会うため、捜査機関に言われるがまま自白調書を作成した」と説明した。