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全国各地で自殺予防の授業や講演をする 高橋(たかはし)聡美(さとみ)さん/悩みに耳傾け 支える


全国各地で自殺予防の授業や講演をする 高橋(たかはし)聡美(さとみ)さん/悩みに耳傾け 支える 全国各地で自殺予防の授業や講演をする高橋聡美さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

「身体の傷は見えるけど、心の傷は言わないと見えないんだよ」。全国の小中高校で授業や講演を重ねている。ポイントは自殺の前に出るSOSのサイン。子どもには「悩みをちゃんと聞いてくれる大人を諦めずに見つけて」、大人には「子どもの話を丸ごと受け止めて聞いて」と説く。少子化の日本で年500人もの小中高生が自殺している。「子どもが生きにくい社会なんです」
鹿児島県で生まれ育った。悩みの多い青春時代を「機能不全家庭の中で育ちました。自殺のリスク要因をたくさん抱えていた」と振り返る。夢は「学校の先生になることと、いつの日か思うように人生を歩むこと」。
周りの大人が支えてくれた。あざを心配し家庭訪問してくれた学校の先生、進路の相談に乗ってくれた親類、温かい言葉をくれた近所の人。自衛隊の看護師を養成する学校で資格を取り、精神科や心療内科の道に進む。
2010年、自宅のある仙台で親を失った子どもの「グリーフ(深い悲しみ)サポート活動」を開始。その直後に東日本大震災が発生し、多くの震災遺児も支えた。
その後、学校で自殺予防の授業や講演を始めたが「自分のペースでやりたい」と防衛医大教授を辞めてフリーになった。
授業では子どもたちに「さとみさん」と呼ばれて、笑いながら話しかける。講義では疲弊する教師の悩みに耳を傾ける。昨年は250回を超えたという55歳は底知れぬパワーに満ちている。「自分らしく生きて。みんな、諦めないで」