世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金を巡り、教団側と信者の間で交わされた返金請求をしないとの合意書や念書を無効とする司法判断が、少なくとも3件あることが3日、全国霊感商法対策弁護士連絡会への取材で分かった。書面の存在により請求をためらう人もいるとされ、同連絡会は「こうした判断の積み重ねが、潜在的な被害の掘り起こしにつながる」と指摘している。
東京高裁は11月15日、信者だった女性側と教団が2015年6月に交わした「将来にわたり献金返還など裁判上・裁判外を問わずいかなる請求も行わない」との合意書が、公序良俗に反し無効だと判断。有効として訴えを却下した一審東京地裁判決を取り消し、審理を差し戻した。
教団側は「将来の無用の紛争を防止する趣旨」であり、顧問弁護士が立ち会って合意書の中身を説明したと主張したが、高裁は「女性が法的意味を十分理解して署名押印したとは認められない」と退けた。
別の訴訟で、20年2月の東京地裁判決は「何ら説明もなく請求権を放棄させた」として合意書を無効と判断。21年3月には東京地裁が、返金を求めないとの書面は「請求権がないとの錯誤の状態に陥っていることを利用した」として請求放棄を無効と認め、東京高裁も支持した。
一方、署名や押印があり形式が整っているとして、裁判所が有効と認めたケースもあるという。
関係者によると、合意書や念書は教団がコンプライアンス徹底を宣言した09年ごろから作成されるようになり、献金返還の裁判が減った一因とされる。教団関係者は「本来、献金は返還を求める性質のものではないため、合意書はそれを明確にしようと作成したのだろう」と話した。
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返金請求放棄「無効」3件 旧統一教会巡る司法判断
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琉球新報朝刊
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