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佐藤大介(さとうだいすけ)さん 「各地で反対の声」忘れないで


佐藤大介(さとうだいすけ)さん 「各地で反対の声」忘れないで アジアの脱原発運動の最前線に立ち続ける佐藤大介さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

アジアで脱原発運動の最前線に立ち続けて30年。核と原発のないアジアを目指す「ノーニュークス・アジアフォーラム」(大阪府豊中市)を1993年に立ち上げ、事務局長を務める。
81年、大阪府で労働福祉関係の仕事に就く。日雇い労働者から原発の定期検査での被ばく労働について多くの相談を受けた。国や地域を問わず、「原発は弱い立場の人を被ばくさせる」。活動を支える信念だ。
インドでは、ウラン鉱山労働者や近隣住民が健康被害を訴え、台湾では先住民族が暮らす離島に放射性廃棄物が持ち込まれ激しい抗議が起きた。
エネルギー問題は権力と距離が近い。原発反対の声を上げると「国益に反する」と非難され、軍事独裁政権の下では、容赦ない弾圧もある。「孤立して権力と対峙(たいじ)せず、SOSを出せば仲間が各地にいると伝えたい」
国内や韓国、タイなど各地で脱原発フォーラムを計20回開催。2025年までの脱原発を掲げる台湾には30年で約50回通った。19年には当時の陳建仁副総統(現・行政院長)に仲間たちと面会し「長年の脱原発運動に感謝する」と謝意を伝えられた。「どこの国でも反政府でやってきたので不思議。でも少しは貢献したかな」と笑う。
東京電力福島第1原発事故の後、脱原発のうねりが急拡大したが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、原発回帰の動きも目立つ。「各地に反対の声を上げ続ける人がいるのを忘れないで」と訴える。趣味はアジア映画観賞。東京都出身。66歳。