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弥生中期の蛇紋岩使用 吉野ケ里遺跡・日吉神社跡 最古級の青銅器鋳型が出土


弥生中期の蛇紋岩使用 吉野ケ里遺跡・日吉神社跡 最古級の青銅器鋳型が出土 佐賀・吉野ケ里遺跡
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 佐賀県は4日、これまで手付かずだった吉野ケ里遺跡(吉野ケ里町、神埼市)の「謎のエリア」と呼ばれる日吉神社跡での発掘調査で、今年4月の石棺墓に続き、9~10月に国内最古級とみられる弥生時代中期前半(紀元前2世紀ごろ)の蛇紋岩でできた青銅器鋳造用の鋳型など3点が見つかったと発表した。鋳型はこれまで遺跡南部を中心に見つかっていた。謎のエリアがある北部で鋳型が出土したことにより、県は「遺跡集落の構造の特徴や変遷を解明する上で、極めて大きな発見」と評した。

 県によると、出土したのは9月6日~10月9日。蛇紋岩や石英斑岩で作られた鋳型の一部と、溶かした金属を入れる取瓶(とりべ)か「るつぼ」とみられる土器の3点が出土した。蛇紋岩の鋳型は片面が銅剣用で、反対側は銅矛用になっていた。石英斑岩の鋳型は、銅剣用か銅矛用の可能性がある。

 吉野ケ里遺跡ではこれまでに同様の青銅器用鋳型の出土が7例あるが全て石英斑岩で、蛇紋岩は初という。当時、青銅器鋳造の先進地だった朝鮮半島では滑石を使っており、よく似た石材として、蛇紋岩を求めたとみられる。いずれも今年4月に発見された石棺墓の北西約5メートルから南南西約10メートルの範囲で出土した。

 県の文化財保護・活用室の白木原宜室長は「掘れば掘るだけ出てくる。謎のエリアにふさわしい」と話した。

 謎のエリアの発掘調査は昨年度始めた。

(共同通信)