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高校生の扶養控除 縮小案 所得税25万、住民税12万円


高校生の扶養控除 縮小案 所得税25万、住民税12万円 高校生がいる世帯の扶養控除縮小案と児童手当
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 高校生(16~18歳)の子どもがいる世帯の扶養控除の縮小案が5日、判明した。所得税は年間38万円から25万円に、住民税は年間33万円から12万円にそれぞれ引き下げる。政府、与党が2026年からの実施を検討しており、高校生がいる世帯の全ての所得層で、児童手当の支給額が控除縮小の影響額を上回り、実質的な手取り額が増えるとしている。

26年実施検討 手取りは増
 与党の税制調査会が詳細を詰め、12月中旬に決める24年度の税制改正大綱に反映させる。ただ控除縮小に反対する与党議員もおり、議論はなお曲折が予想される。
 扶養控除は所得税と住民税の税負担を軽減する仕組みだ。課税対象の所得から控除額を差し引き、税率をかけて納税額を計算する。控除縮小に伴って税負担の軽減額は小さくなる。
 一方、高校生がいる世帯の所得水準に関係なく、24年12月から高校生1人につき原則月1万円の児童手当を支給する。このため、1年間を通して見た場合、世帯の実質的な手取り額は増えるとしている。
 政府、与党は子育て世帯を手厚く支援するため、子どもがいる世帯を主な対象に、生命保険料控除を拡充することや、24年入居分からの実施が決まっている住宅ローン減税の縮小を見送ることも検討している。扶養控除の縮小と合わせて具体策を詰め、税制改正大綱に盛り込みたい考えだ。
 15歳までを対象とした年少扶養控除は、民主党政権時の子ども手当(現児童手当)創設に合わせて廃止された。政府、与党は一時、高校生向けの扶養控除の廃止も検討したが、増税イメージを払拭したい岸田文雄首相が「廃止を前提に検討している事実はない」と表明し、縮小にとどめることになった。

 扶養控除 生計を共にする16歳以上の親族がいる場合、課税対象となる所得から一定額を人数に応じて差し引き、税負担を軽くする制度。年間の合計所得が48万円以下の配偶者以外の親族が対象で、控除額は親族の年齢によって異なる。民主党政権下の2010年、「控除から手当へ」の理念に基づき子ども手当(現児童手当)が創設されたことに伴い、16歳未満を対象とした年少扶養控除は廃止された。