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クジラ保全し観光に 慶良間諸島シンポ 関係者、両立探る


クジラ保全し観光に 慶良間諸島シンポ 関係者、両立探る 保全活動や持続可能な観光の在り方を考えた「沖縄ザトウクジラシンポジウム2023」=2日、沖縄コンベンションセンター会議棟
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 慶良間諸島国立公園指定10周年記念事業「沖縄ザトウクジラシンポジウム2023」(環境省沖縄奄美自然環境事務所主催)が2日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議棟で開かれた。年末ごろから始まるホエールウオッチングのシーズンを前に行政や事業者ら関係者が集まり、取り組みを通して保全活動や持続可能な観光の在り方を考えた。
 沖縄美ら島財団動物研究室の小林希実さんは、科学的知見からみたザトウクジラの現状について解説した。
 小林さんは沖縄を含む南西諸島が入る西部北太平洋を回遊するザトウクジラは絶滅が危惧されている集団と指摘する。ホエールウオッチングに関する法規制は国内にはなく、南西諸島では観光船の数が年々増加傾向にあって「人的影響は増加の一途だ」と生態系への影響を懸念。保全対策と持続的な観光を両立させるために関係団体の連携や立法・条例化による規制などを提案した。
 シンポジウムでは、座間味村ホエールウォッチング協会の大城晃会長による協会の事業や保全対策について報告し、繁殖を妨害しないよう規制区域を設けるなど独自の取り組みを紹介した。本島、奄美地域のホエールウオッチング協会関係者も登壇し、自主ルールによるクジラとの共存に向けた取り組みの報告や運営に当たっての課題なども共有された。
 会場には多くの一般客も参加し、保全に関する質疑なども活発に交わされた。 (小波津智也)