県は首里城地下にある第32軍司令部壕の保存・公開に向け、11月23日と、25~26日にかけて壕周辺でフィールドワークを実施した。県民への周知を進めるとともに、住民の意見を聞き、保存・公開の在り方にも反映させたいという。
沖縄戦を指揮した第32軍司令部が拠点にした壕で、総延長は約1キロと推定されている。県は段階的な保存・公開に取り組む方針で、2026年に第1・5坑口公開を目指している。フィールドワークは、現存する唯一の坑口の第5坑口や、県が位置特定調査を進める第1坑口の周辺などを回り、3日間で計約60人が参加した。
参加した首里真和志町自治会の稲福達也会長は「首里城の上の部分の活用も大切だが、地下も沖縄戦を学べる施設として整備し公開してほしい。予算や条件もあると思うので、県の段階的な整備方針は理解できる」と話した。首里高2年の城間優輔さんは「学校も自宅も近くだが、戦跡があることを初めて知った。残し方が大事。知識をしっかり後世に伝えられるように残してほしい」、同2年の友寄優歌さんは「日本史の教科書で見ていた、沖縄戦があったという事実が目の前に迫ってきた。いろんな人に知ってほしい」と話した。
県は24年度に具体的な整備範囲や方法を決める基本計画を策定する。県女性力・平和推進課の担当者は「まずは32軍壕を県民に知ってもらいたい。住民から集めた意見は、基本計画に反映させていきたい」と話した。
第32軍司令部壕を巡っては首里城火災後、保存公開を求める市民団体の活動が活発化している。26年の公開に向け、語り部を養成する「沖縄戦の記憶継承プロジェクト―戦争をしない/させないために」実行委員会には琉球新報社も参加している。 (中村万里子)
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琉球新報朝刊
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