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比残留2世14日来沖 親族捜し、比政府後押し


比残留2世14日来沖 親族捜し、比政府後押し フィリピン・コロン島で法務省職員の面接を受ける日系2世アカヒジ・サムエルさん(右)=6日
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 【マニラ共同】太平洋戦争中にフィリピンで沖縄県出身とみられる父を反日ゲリラに殺され、親族を捜すため訪日を切望してきた日系2世アカヒジ・サムエルさん(81)の夢を実現しようと、フィリピン政府が支援に乗り出した。法務省職員が6日に派遣され無国籍と確認。パスポートを取得できないサムエルさんに特別な渡航書類が発行される見通しになった。
 サムエルさんが住むコロン島で面接した法務省のメルビン・スアレス氏は「高齢を考慮した人道的配慮だ」と指摘。「戦時に日本が犯した残虐行為のせいでフィリピン人社会は日本人を憎み、彼らは父親が日本人であることを隠してきた」と述べた。無国籍認定で日本国籍回復を後押しできるとの考えも示した。
 サムエルさんは14~19日に沖縄県を訪れる計画。「父は『ハポン』(日本人)と呼ばれていた。日本に行けることに興奮している。父の親族と知り合いたい」と訴えた。
 父は漁業者として1920年ごろコロン島に移り住み、フィリピン人女性と結婚。父系の血統主義を採用する当時の法律により、サムエルさんには日本国籍が付与されるはずだが、証拠書類は失われている。
 支援団体「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(東京)がサムエルさんを含む日系2世2人の親族捜しのため、クラウドファンディングで訪日資金を集めた。
 面接を仲介した同センターの猪俣典弘代表理事は、沖縄でアカヒジ姓は珍しく、サムエルさんを親族ではないかと考える同姓の一族が出てきたと説明。「彼の年齢では最後の日本旅行になるかもしれない」と述べ、実り多い訪問となるよう期待を込めた。