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夫婦放火殺人 死刑求刑/特定少年で初、甲府


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 甲府市で2021年10月、同じ高校に通っていた女性の両親を殺害して住宅に放火したとして殺人などの罪に問われた、当時19歳だった被告(21)の裁判員裁判論告求刑公判が11日、甲府地裁(三上潤裁判長)で開かれ、検察側は「更生の可能性はない」として死刑を求刑した。22年4月の改正少年法施行後、「特定少年」に当たる被告への死刑求刑は初めてとみられる。
 弁護側は最終弁論で「被告の人格は完成されていない」として「更生可能性を見いだすことはできる。死刑にするべきではない」と訴え、結審した。判決は来年1月18日。被告は最終意見陳述で「控訴しません。それだけです」とだけ述べた。
 検察側は論告で「女性への恋愛感情が実らず怒りを覚えた。筋違いで理不尽な逆恨みだ」と述べ、女性を傷つけるために家族の殺害を考えたと指摘。あらかじめ犯行方法を決め、証拠隠滅のため放火するなど計画性があるとして、責任能力はあったと主張した。また、両親が無抵抗になった後も執拗(しつよう)に攻撃を加えるなど「冷酷で、生命軽視が甚だしい」と非難。「年齢が死刑を回避する理由にはならない」と述べた。
 一方で弁護側は「被告は事件当時、精神障害により行動制御能力などが著しく減退していた」と主張した。