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トコジラミ相談最多 東京・大阪 旅行客増加が一因か


トコジラミ相談最多 東京・大阪 旅行客増加が一因か トコジラミに刺された人の足(兵庫医科大・夏秋優教授提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「南京虫」の名前で知られる害虫トコジラミに関する相談が昨年と比べ東京都や大阪府で増加し、両都府で過去最多になったことが16日、害虫駆除業者などでつくる協会への取材で分かった。殺虫剤大手への相談も前年比で8倍に達しており、専門家は「全国で被害が拡大している」と指摘。コロナ禍が落ち着き、国内外の旅行客が増えたのが一因とみられる。
 トコジラミはカメムシの仲間で体長約5ミリ。ベッドの隙間などに潜み、夜間にはい出て人間を刺し血を吸う。刺されると発疹や強いかゆみが出る。衣服や所持品に付着したまま自宅に持ち帰り繁殖してしまうという。幕末ごろから日本におり、一時は国内にまん延したが、強力な殺虫剤が普及し1970年ごろ激減。しかし、2000年ごろから殺虫剤に耐性を持つ個体も出現した。
 東京、大阪のペストコントロール協会によると、東京の相談は23年11月までに306件で、22年の247件を超えた。大阪は23年11月末時点で、前年の約1・5倍となる307件。全国集計では22年度が683件で09年度と比べ約5倍だった。
 具体的には「駆除業者を紹介してほしい」「どうやって駆除すればいいか」などが寄せられた。
 殺虫剤大手のアース製薬(東京)に11月に寄せられた件数は、22年同月と比べて約8倍となった。今年11月下旬には大阪メトロ(大阪市)の電車内での目撃情報が交流サイト(SNS)で広がり、メトロは保有する1380両を清掃した。
 海外でも騒ぎが広がっている。韓国では大学入試の試験場で防除作業を実施。政府は11月、合同対策本部を設置した。フランスでも、公共交通機関や空港などでの発生が相次いで報告されている。
(上)トコジラミの成虫(下)トコジラミに刺された人の足(兵庫医科大・夏秋優教授提供)