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送料無料表示 規制見送り/消費者庁/誤解ない説明要請


送料無料表示 規制見送り/消費者庁/誤解ない説明要請 意見交換会での発言
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 消費者の輸送コスト意識が薄まり運送業界の負担増につながっているとして、政府が見直しを目指してきた「送料無料」表示について、消費者庁が表示自体の規制は見送り、販売事業者側に対し消費者の誤解を招かないための説明を付記するなどの自主的な対応を要請する方針であることが17日、関係者への取材で分かった。同庁は近く、この要請を含めた送料無料に関する見解を公表する予定だ。
 政府は、トラック運転手の残業規制強化で物流危機が予想される「2024年問題」対応として6月に政策パッケージを公表し、その中で送料無料表示見直しにも取り組むと明記。消費者庁は7月に無料表示の課題を示すウェブサイトを開設し「誰がどのぐらい送料を負担しているのかを、消費者が考える必要がない」「再配達を気にしなくなる」などと記した。
 同庁が11月までに実施した関係団体による計9回の意見交換会では、運送業界側から「ドライバーにとっては虚偽の表現だ」「運送業を志す人も減る恐れがある」などと、強く見直しを求める声が上がった。消費者団体からは「少なくとも『送料は当社負担』などと、消費者が(運送で発生する)負荷を認識できる表現に改めてほしい」という提案がされた。
 一方、通販事業者側からは「配送にお金がかかることは消費者には理解してもらっている」などとして、無料表示が物流問題につながっていないとの意見が示された。
 関係者によると、消費者庁はそれぞれの主張を共に満たすのは難しいと判断。落としどころとして、送料無料が「ただで荷物を運んでいる」という誤解を消費者に与えないような説明を付記するよう、販売側に自主的な取り組みを要請する形でまとめに入った。消費者庁としての検討は一度終えることになるが、販売事業者に要請する内容を今後も注視していくという。