酪農学園大(北海道江別市)の教授としてヒグマの生態を研究する。長年にわたって追うのは「人との摩擦が増えている背後にはクマ側の変化もある。ずっと見ている人がいないといけない」と考えるからだ。北海道庁とも連携し、将来を見据えたクマと人の共存の道を模索している。
約30年前、北海道大の学生サークル「ヒグマ研究グループ」に入った。夏には大雪山の山々にテントを張って50日ほど泊まり、高山植物を食べるヒグマを観察した。「山に来るクマは幸せだが、畑に出て駆除される個体もいる」と、東京大大学院に進学後は農業被害を起こすヒグマの研究に専念。2003年から研究者として日本大で働き始め、13年には北海道に研究の場を移した。今も年間70日ほど、山や森に入って調査している。
農業の機械化に伴って人がいなくなった農地にヒグマが入りやすくなるなど、生息環境は変わってきた。クマ被害の急増には「一時的な駆除は必要」としつつも「減ったら保護して、増えたら駆除するというやり方には科学がない。駆除して終わりにしてはならない」。生息域では保護し、人の生活圏では駆除するなど、区域のすみ分けによる「ゾーニング管理」の重要性を訴える。
「北海道ヒグマ保護管理検討会」の座長も務める。「多くの予算と人の配置が必須。研究成果を活用しながら何が必要か伝え、行政に反映させたい」と政策の具体化を目指す。家庭菜園でジャガイモやナスを育てる東京都出身の52歳。
有料
ヒグマ保護管理の在り方を模索する/佐藤(さとう)喜和(よしかず)さん/将来見据えた共存へ
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琉球新報朝刊
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