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防災発信、地域協力で 尼崎の法人 ラジオ継承、住民が情報


防災発信、地域協力で 尼崎の法人 ラジオ継承、住民が情報 生放送をする「みんなのあま咲き放送局」の市民パーソナリティーら。右奥は三宅奈緒子さん=2023年月、兵庫県尼崎市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1995年の阪神大震災を機に設立され、昨年3月に閉局した兵庫県尼崎市のラジオ局の事業を、一般社団法人「みんなのあま咲き放送局」が引き継ぎ昨年10月から放送を行っている。住民の手を借りた防災の取り組みにも力を入れるといい、牧野篤史代表理事(46)は「災害の規模が大きいほど、地域の細かい情報を伝えられるラジオは重要。住民から集めた信頼できる情報を発信したい」と話す。

阪神大震災29年
 前身の「エフエムあまがさき」は阪神大震災で市民への情報が不足した教訓から96年に開局。市の外郭団体が運営してきたが、昨年度で業務委託費が打ち切られ閉局した。ともにパーソナリティーだった牧野さんや三宅奈緒子さん(44)ら7人が放送を存続させたいとクラウドファンディングなどで資金を募り、事業継承にこぎつけた。
 目玉の番組は、平日正午から午後1時に放送する「あつまれ!あまびとたち!」。以前街ブラ番組を担当していた三宅さんが出会ったおもしろい市民らに声をかけ、10~70代の男女35人にパーソナリティーを務めてもらっている。災害時には市内に散らばる彼らから情報を集めて放送。開局直後に落雷被害があった際も「この交差点の信号が止まっていた」などとローカルな情報を伝えた。
 元日の能登半島地震を受け、パーソナリティーらはスマートフォンのアプリで石川県七尾市のコミュニティーFMが災害情報をどう伝えているかを丹念に聴いているという。牧野さんは「スマホがあってもバッテリーが切れて情報が得られないという話も聞く。ラジオ放送の重要性を改めて感じ、自分たちが今後何ができるのかを考えていきたい」と話した。