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松本さん休止 テレビ局大混乱 文春報道 本人否定、降板など判断難しく


松本さん休止 テレビ局大混乱 文春報道 本人否定、降板など判断難しく スマートフォンに表示された松本人志さんのXのプロフィル画面と週刊文春
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 お笑い界のトップを走ってきたタレントの松本人志さんが、当面の芸能活動休止を宣言した。自身の性的行為強要疑惑を巡る「週刊文春」の報道がきっかけだったが、テレビ各局は大混乱。本人が否定し、事実関係が明確にならない状況下で難しい対応を迫られている。
 「白黒がはっきりしない中でテレビ局が能動的に何かを判断するのは難しい」。そう悩ましげに語るのは在京民放キー局幹部だ。事実関係の認定は裁判に委ねられる公算が大きく、現段階で番組降板などの対応を取ればタレントの人権侵害になる恐れもあるという。
 「制作サイドとしてはベストのキャスティングで臨みたいが、スポンサーの意向は無視できない」とも。
 実際、アサヒビールやサントリーなどは昨年末、松本さんの出演番組でスポンサーとしての社名表示を取りやめた。日本テレビ系の番組でも、提供クレジットが表示されず、一部がACジャパンのCMに差し替わる事態が起きている。
 元民放プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大教授(メディア論)は「CMはスキャンダルに対して脆弱(ぜいじゃく)。スポンサーが自粛するのは仕方ない」と現状を解説。週刊誌報道を巡って訴訟となれば影響は年単位に及ぶ可能性もあり「活動休止が長期化すると、松本さんがたとえ“シロ”だとしてもイメージ悪化は否定できない」と話す。
 当初は様子見が多かった各局だが、応急措置的な対応策を発表するケースも。「探偵!ナイトスクープ」を制作する朝日放送テレビ(大阪市)が、収録済みの番組を放送後に、司会役の松本さんの代役を立てることを明らかにした。フジテレビは「ワイドナショー」に松本さんが出演するとしたが、10日に一転して取りやめを発表するなど混乱もみられた。
 松本さんは「事実無根」と主張しており、セクハラの真実性を認める判決が確定した旧ジャニーズ事務所の性加害問題とは事情が異なるが、世の中の目は、ハラスメントが「疑惑」だったとしても、確実に厳しさを増している。
 広報・危機管理コンサルタントの大森朝日さんは「仮に法的責任に問われない場合でも、社会的規範からの逸脱は許されなくなった」と指摘。「インターネット上での情報拡散は年々早まっており、テレビ局は芸能事務所との利害関係があったとしても、より迅速な対応が求められる時代となっている」
 週刊文春は昨年末、松本さんらが2015年、東京都内のホテルで複数の女性に性的行為を強要したなどと報じた。