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被災後 学びどう確保 集団避難先や心のケア課題 能登半島地震


被災後 学びどう確保 集団避難先や心のケア課題 能登半島地震 石川3市町の小中学校の対応
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震の被災地では、多くの学校が本格的な授業を再開できないでいる。被害が特に大きい石川県の輪島市、珠洲市、能登町は希望する中学生を対象とした集団避難を検討するが、受け入れ先確保や親と離れて過ごす生徒の心のケアといった課題もあり被災後の学びの場をどう確保するか関係者は頭を悩ませている。 (2、3、18面に関連)
 輪島市では全3市立中の生徒、約400人の保護者に意向調査し、250人が集団避難に同意した。受け入れ先は白山市の研修施設の予定だが、学習スペースをどこに設けるかや教師の配置など調整が必要な点が多く、避難の時期は定まっていない。担当者は「生徒のストレスを少しでも減らす環境を整備したい」と話した。珠洲市と能登町も中学生の希望者を対象に集団避難を行う方針。珠洲市では市内で一部の学校が再開したが、通学路の安全確認のため始業を遅らせるなど限定的だ。集団避難は「学習機会を確保する一つの選択肢」と担当者。受け入れ先について「まとまって同じ場所に避難させたいが、市の都合だけを主張できない」と苦悩する。
 保護者や生徒の受け止めもさまざまだ。輪島市の輪島塗職人小路貴穂さん(52)は中3で受験を控える息子を避難させることにした。避難所で生活しており「環境が悪く、息子はほとんど勉強できていない」と話す。中3の息子と中1の娘がいる輪島市の井筒丈則さん(58)は「親としては行かせたくない。先生だけで数百人の子どもを24時間管理できるのか」と疑問を呈した。
 珠洲市の女子中学生(13)は「ここにいれば、家族も先生もいる。珠洲の復興にも携わりたい」と地元に残る決意を口にした。