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知的障がい者、65歳未満9割が親と同居 他界前の「もしもに備え」グループホームの体験を 那覇で研究大会・沖縄


知的障がい者、65歳未満9割が親と同居 他界前の「もしもに備え」グループホームの体験を 那覇で研究大会・沖縄 座談会で議論を交わす(右から)又村あおいさん、田中寛さん、津山順子さん=17日、那覇市首里石嶺町の県総合福祉センターゆいほーる
この記事を書いた人 Avatar photo 渡真利 優人

 第57回県知的障がい者教育・福祉・就労研究大会(主催・県手をつなぐ育成会)が17日、那覇市の県総合福祉センターで開催された。障がい者福祉に取り組む行政や団体からの報告や座談会を通じて、障がいの有無にかかわらず暮らしやすい共生社会の実現に向けて意見を交わした。65歳未満の知的障がい者の9割が親と同居しているという報告を踏まえ、親が他界する前にグループホーム(GH)での生活を実体験できる機会を提供し、もしもの場合に備えることが重要だとした。

 座談会では全国手をつなぐ育成会連合会の又村あおい常務理事と、県手をつなぐ育成会の田中寛理事長、コーディネーターとして県手をつなぐ育成会の津山順子理事が登壇した。親が他界した後、障がい者が安心して生活するにはどのような対応が求められるのか議論した。

 又村常務理事は、厚生労働省が5年ごとに実施している「生活のしづらさなどに関する調査」の結果を用いて、障がい者が親と同居している割合を説明した。2016年時点で療育手帳を有している65歳未満の知的障がい者の同居率は92%となっていて、11年の調査と変動が少なく高い割合を維持していることを説明した。

 要因として又村常務理事は「グループホームや1人暮らしを体験・経験する公的支援が不足し、結果として親との同居が長く続いている」とした。その上で、親が不測の事態になる前に、生活の場を地域へ移行する体制を担う「地域生活支援拠点」の役割が大切になると説明。グループホームでの生活を実体験できる機会を提供し、もしもの場合に備えることを提案した。

 田中理事長は、県の育成会として今後、特別支援学校における障害基礎年金の学習や、会員の活性化などが重要と強調した。

 (渡真利優人)