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国際福祉相談に関心を 故平田正代さん資料集完成 親交あった6人が編集


国際福祉相談に関心を 故平田正代さん資料集完成 親交あった6人が編集 戦後から1990年代にかけて国際福祉相談を担った平田正代さんの資料集
この記事を書いた人 Avatar photo 知花 亜美
 平田 正代さん

 宜野湾市にかつてあった国際福祉相談所の所長やソーシャルワーカー、法廷通訳としても活躍した平田正代さん(2022年4月に逝去、享年82歳)が残した資料を基に、「平田正代資料集~戦後沖縄をめぐる国際福祉相談関連資料群」が3月末までに完成した。手がけたのは沖縄大学教授の成定洋子さんを含む、平田さんと親交のあった6人。成定さんは、戦後沖縄の国際福祉相談の足跡が資料から分かるとし「国際福祉相談は今も必要とされている。当時確立されていた相談体制を、今後どう生かしていくのか、問われていると感じる」と語った。

 資料集は平田さんが県公文書館に生前寄贈した約4千点の文書の中から厳選した。平田さんが新聞などに寄稿した文章と自作の俳句・エッセー、生前親交のあった人たちからの追悼文も含め292ページとなった。

 国際福祉相談所は米軍基地から派生する米兵と沖縄の女性との国際結婚、離婚、養子縁組、無国籍児問題などに対応していた。平田さんは同相談所の前身・国際社会事業団に1967年からケースワーカーとして働き、72年からは裁判所の通訳人に登録、長年裁判所の通訳業務にも従事した。96年から同相談所が閉鎖された98年まで所長を務めた。

 資料集からは、平田さんらが米軍内の組織と連携し、相談受け付けから開始までの流れが図解で示され、70年代には年間の取扱件数が約1500件に上っていたことが分かる。

 また、国際結婚したカップルを対象に、異文化の背景から生じる考え方の違いや民間人と軍人の違いなどのワークショップを手がけるなど、幅広い活動を展開していた。今でも必要とされている仕組みや制度があったことが資料集からうかがえる。

 平田さんは、国際福祉相談所長退任後、業務が移管された県女性総合センター(現在の県男女共同参画センター「てぃるる」)の相談員を務めた。

 今回資料集をまとめたメンバーは、てぃるるの元同僚を中心に嘉手納美音さん、城田由美子さん、棚原美菜子さん、仲村宮子さん、宮良綾子さんと成定さんの6人。定期的に集まり、コロナ禍を経て約2年かけて完成させた。資料集はB5判で500部発行。那覇市西のてぃるる図書情報室をはじめ県内の公立図書館などに寄贈したという。成定さんは「国際相談にいろんな人たちが関心を持って考えてもらえたらと思う」と話した。

 (知花亜美)