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女性登用、鳥取から学ぶ 元知事の片山氏、県庁改革を紹介 ジェンダー・ギャップ指数、行政で全国1位


女性登用、鳥取から学ぶ 元知事の片山氏、県庁改革を紹介 ジェンダー・ギャップ指数、行政で全国1位 鳥取県知事時代の女性登用の実践について説明する片山善博氏=6月29日、那覇市の県男女共同参画センター
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

 性別にかかわらず、すべての人が活躍できる社会を目指そうと、男女共同参画講座「女(ひと)と男(ひと)とみんなのチカラ~都道府県版ジェンダー・ギャップ指数結果から見る沖縄県のすがた~」(主催・県、おきなわ女性財団、県男女共同参画センター管理運営団体)が6月29日、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で開かれた。鳥取県知事や総務大臣を務めた片山善博氏が登壇し、鳥取県庁の管理職に女性を積極的に登用した実践例や、女性が社会で活躍するために必要な方策などを話した。行政関係者など約130人が来場し、職場や家庭など、身近な場所からジェンダー平等を実現するための取り組みを学んだ。

 「地域からジェンダー平等研究会」は2022年から、3月8日の国際女性デーに合わせて「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表している。男女平等度を政治、行政、教育、経済の分野で示す。片山氏は同会の顧問を務める。24年の指数では、鳥取は行政と経済の分野で男女格差が最も小さいとして、全国1位だった。沖縄は政治が28位(前年同)、行政が12位(同16位)、教育が8位(同9位)、経済が5位(同1位)だった。

 片山氏は1992年に鳥取県庁の総務部長に就任。当時、課長級以上の管理職は男性が占めていた。その背景には、入庁以来さまざまな課で経験を積むことができる男性に対し、女性の仕事は庶務に限られるという人事慣行があった。片山氏は「フェアではなかった。男性はチャンスを与えられ続けて、女性はチャンスがない。自分がアンフェアな立場だったら怒るし、つらいと思う」と改革の原点を振り返った。

 知事時代には県庁の中枢と言われていた秘書課や財政課に女性を配置した。すると、知事の日程調整や予算措置の依頼をする際に「女性に頭を下げて頼みごとをしたくない」といった反発が男性職員からあったという。

 「女性は補助的役割」という性別役割の固定観念は根強く残り続けていたが、「女性でもきちんと仕事ができる」という実績を重ねることで、徐々に男性職員の意識も変わっていった。「『女性でもちゃんとやってくれる』という感想自体がおかしいが、そうしたことを乗り越えて(女性の登用は)当たり前になっていった」

 県が関わる委員会や審議会の委員が男性に偏っていたことから、男女の割合を6割~4割に収めるルールを作るなど、性別の偏りをなくす施策を幅広く実施した。

 改革に着手してから約30年、鳥取はジェンダー・ギャップ指数の行政分野で、3年連続1位を維持している。片山氏は「(改革は)一朝一夕にはいかない。地道にこつこつやってきた結果だ」と顧みた。能力や意欲のある人が性別によって力を発揮できないのは「組織にとって大きな損失だ」と指摘。「一人一人が存分に能力を生かせる環境を作ることで、組織の力も伸びる」と訴えた。

 女性の社会進出を進めるには、女性に負担が偏りがちな家事や育児の環境も合わせて考える必要があることから「男性が家庭内進出して役割をシェアする。そうすることで外でも中でも男女共同参画ができる」と提言した。

 (嶋岡すみれ)