離岸流に巻き込まれたら…「浮いて救助待つ」「流れを横切って」 記者が体験、海保呼びかけ 沖縄


離岸流に巻き込まれたら…「浮いて救助待つ」「流れを横切って」 記者が体験、海保呼びかけ 沖縄 離岸流にあらがって泳ぐ名嘉記者(左)=5日、糸満市の大度浜海岸
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 第11管区海上保安本部は5日、糸満市の大度浜海岸で報道関係者を対象に離岸流体験会を開いた。報道を通じて、離岸流の発生メカニズムと危険性を伝えようとする取り組みの一環。本紙記者も参加した。離岸流は岸から沖へ向かって流れる潮のこと。離岸流のうち珊瑚礁(さんごしょう)付近では、外礁と外礁の間から沖へ向かう独特な流れ(リーフカレント)が発生する。

 この日、大度浜海岸では防護ネットのない自然海岸で、シュノーケリングを楽しむ遊泳者の姿もあった。

 干潮時に岩場を歩いて外礁へ向かった。ごつごつとした外礁に囲まれた一角。囲いに切れ目(リーフギャップ)がある。打ち寄せた波は引く際に、切れ目に集中的に流れ込んでいた。離岸流を体験した。想像以上に流れは速く、あらがおうとしたが「もう、だめだ」と諦めさせられた。実際に流れに乗ると、どんなに体を動かしても逆らうことはできず、その場にとどまることも難しかった。徐々に体力も失われ、最終的に流された。

 11管の担当者によると、離岸流は沖に向かうにつれて流れが弱くなるため「体力を温存し、浮いて助けを待つことが重要」と話す。一番は離岸流にはまる前に気づくことが重要だ。シュノーケリングなどに興じると、海中に集中しがちだが、時折顔を上げて自分の位置を確認するだけでも、効果はあるという。

 11管によると、2023年に離岸流の影響と思われる事故者数は9人(死者2人)。大度浜海岸では2人の遊泳者が離岸流の事故に遭い、うち60代男性が亡くなっている。11管は離岸流に流されていると気付いたら、すぐに流れの外に逃げるよう呼びかけた。流れに逆らえなくなった場合は、(1)陸に向かって平行に、流れを横切って泳ぎ、陸を目指す(2)泳ぐことが難しい場合は浮いて助けを待つ―の2点を挙げた。

 (名嘉一心)