ママこそ誰かに頼ることが大事だよ―。育児に悩んだり、少し自由時間が欲しかったり。そんなママをサポートしようと、このほど「コツヨシ小児・母子訪問看護ステーション」(南風原町)が「ママのお助けプラン」を開始した。助産師などが子どもを自宅で預かってママが自由に過ごせる時間を作るレスパイト(休息)や、多胎児や医療的ケア児の育児相談などを実施。母子支援の専門家とママが気軽につながることで、孤立を防ぎ、心と体のケアをする。
自由時間
「離乳食も進んでいるし、本人が満たされている中で終わるなら卒乳でいいんじゃないかな。頑張って授乳してきた自分を褒めて、体を大事にしてね」
9月、宜野湾市のアパートの一室。コツヨシ小児・母子訪問看護ステーションの管理者で「アドバンス助産師」の認証を持つ岩切貴世さんは、気持ちよさそうに眠る荻堂盛睦(もりとき)ちゃん(11カ月)をだっこしながら、盛睦ちゃんの母・千愛(ちあき)さん(30)に優しく声をかけた。
この日、千愛さんは初めてレスパイトのサービスを利用し、1時間半ほど盛睦ちゃんを預けた。つかの間の自由時間は市役所に行ったり、買い物をしたりして過ごしたという。「毎日ずっと子どもと一緒で大変だったから、一人の時間が欲しいなと思ってお願いした。リフレッシュになった」と笑顔を見せた。
人見知りしていないか心配していたというが「機嫌よく遊んでいて、だっこすると静かに寝ましたよ」と岩切さんからの報告を聞いて一安心したという。眠っている間に、授乳を終える「卒乳」のタイミングや体のケアについて、岩切さんに相談した。「病気じゃないのにこういうサービスを使っていいのかなって思っていたけど、利用してみてよかった。心にゆとりができた」(千愛さん)
誰でも利用
同ステーションは7月から小児・母子支援に特化した訪問看護事業を始めた。新生児集中治療室(NICU)や新生児治療回復室(GCU)で勤めた経験がある助産師や看護師が自宅を訪問し、サポートが必要なママを妊娠中から見守ったり、低出生体重児や医療的ケア児、多胎児らを対象に看護ケアや発達相談などをしたりしてきた。
だが訪問看護の場合は公的医療保険が適用され、医師の指示書によってサービス内容が決まるため、利用するにはまず病院を受診する必要がある。岩切さんは「24時間赤ちゃん中心の生活をしているママが自分のことで病院を受診するのはハードルが高い。訪問看護だけではサポートできない人たちがいると感じていた」と振り返る。医療機関や支援者につながっていなくても、育児に悩んだり疲れたりしているママはたくさんいる。そうしたママを助けてあげられる方法はないのか―。
そこで事前に病院の受診を必要とせず、気軽に利用できるお助けプランを始めることに。プランの内容は(1)レスパイト(1時間2千円)(2)乳房ケア(1回5500円)(3)多胎児、医療的ケア児の育児相談(1回3千円)。すべて税・交通費込み。基本的には本島南部で対応しているが、その他の地域も相談可能。
レスパイトの対象は未就学児がいるママ。事前に母子と面談し、生活リズム、好きな遊びやアレルギーの有無などを確認した上で対応する。預かっている間の様子は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で見ることができる。
岩切さんは「ママ自身の心と体を大切にするためにも、ママこそ誰かに頼ることが大事。誰でも気軽に利用してほしい」と呼びかけた。
申し込み、問い合わせは電話、098(889)2525、またはメールmain@kotuyosi-bosihoukan.com
(嶋岡すみれ)