経済的な事情で赤ちゃん用のミルクを買えない家庭の支援などをしている一般社団法人「共育ステーションつむぎ」(那覇市、髙良久美子代表)は9月23日、南城市役所で特別講演会「DOHaD(ドーハッド)学説で学ぶ 胎児・赤ちゃんから始める生活習慣病の予防」と活動報告会を開いた。講演は県立中部病院、南部医療センター・こども医療センターの元院長で小児科医の安次嶺馨さんが登壇。「生活習慣病の萌芽(ほうが)は胎児期からある。将来の社会を担う子どもたちの健康こそ宝だ」と訴え、生活習慣病を防ぐため対策を講じる重要性を語った。
ドーハッド学説は健康や病気の発症には胎児期からの成長発達過程に原因があるとし、遺伝子と環境との相互作用で生活習慣病などを発症すると説明する。
安次嶺さんは「胎児期を健康に過ごすことが人生最良のスタートになる」と強調。胎児の育つ子宮内環境は母親の健康状態に左右されることから、妊娠中の母体の健康を社会全体で守る重要性を指摘し「日本の公衆衛生上の施策として妊婦の栄養改善を図るべきだ」と訴えた。
胎児・乳幼児期からの生活習慣病予防の基本として(1)母親の栄養改善を主とする周産期管理の向上(2)母乳栄養・和風離乳食(3)和食中心の食事、早寝早起き朝ご飯(4)たばこの害から子どもを守る(5)学童期から成人期まで良い食生活習慣を送る―などを上げた。
安次嶺さんは「沖縄の長寿県復活に最も有効な対策は胎児・赤ちゃんから始める生活習慣病の予防。全県的な草の根運動を今日から始めよう」と呼びかけた。
(嶋岡すみれ)