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前社長が名義貸し依頼 競走馬組合 秋本氏との関係隠す


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 洋上風力発電事業を巡る汚職事件で、衆院議員の秋本真利容疑者(48)=自民党を離党=と競走馬の組合を設立した贈賄側の塚脇正幸・日本風力開発前社長(64)が秋本容疑者との関係を隠すため、知人に名義を貸してほしいと依頼していたことが9日、関係者への取材で分かった。秋本容疑者も知人名義にすることを了承していた。東京地検特捜部は2人が癒着を疑われないように偽装したとみて捜査している。
 関係者によると、塚脇氏は2021年6月、知人に「小生の名義が出るのを避けるために組合員として入ってもらいたい」と依頼するメールを送信。特捜部の捜査開始後、理由について、秋本容疑者との関係の表面化を懸念したとの趣旨の説明をしたという。当時のメールには「もし赤字が続けばその分、面倒を見ます」とも記載し、あくまでも自身が金銭負担するとしていた。
 競走馬の組合「パープルパッチレーシング」は22年3月に地方競馬全国協会に登録された。構成メンバーは秋本容疑者や塚脇氏の知人ら3人。関係者によると、秋本容疑者と塚脇氏の知人が45%ずつ、秋本容疑者の知人が10%を出資するとしていたが、実際は塚脇氏が多額の資金を提供していた。秋本容疑者が組合の馬を厩舎(きゅうしゃ)に預ける契約手続きを自らしていたことも新たに判明。預け先とメールでやりとりしていた。特捜部は、秋本容疑者が実質的に組合を所有していたことを裏付ける要素とみており、塚脇氏からの資金は賄賂だとして捜査している。
 秋本容疑者は19年2月、国会で日本風力開発が参入を目指す青森県の海域について過度な規制をしないよう求めた。22年2月にも、同社の意向に沿う事業者公募の評価基準見直しを要請した。