企業、ジャニーズ離れ アサヒとキリン 見直し 芸能界と温度差も


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 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による性加害問題を受け、アサヒグループホールディングス(HD)など所属タレントをCMに起用する企業に8日、見直しの動きが広がった。一方、ジャニーズのタレントに依存する芸能界からは「サポートを惜しまない」との声も上がり、消費者の反応に敏感な経済界との温度差が浮き彫りになっている。
 アサヒグループHDとキリンホールディングスは今後、同事務所のタレントを起用した新たな広告や販促は展開しない方針を打ち出した。アサヒグループHDは傘下企業の商品で同事務所所属の人気タレント二宮和也さんらを起用しているが、「明確な被害者救済と抜本的な組織運営の是正が認められない以上、取引の継続は当社の人権尊重方針に反する」と断じた。
 一方、芸能界の「ジャニーズ頼み」の現状は変わらない。同事務所の俳優が多数出演する舞台の関係者は「タレントには罪がない」と擁護。同事務所の人気デュオ「King&Prince」らのCDを発売するユニバーサルミュージックも「当社にできる方法で彼らをサポートするために、努力を惜しまない所存」とコメントした。
 別の芸能関係者も「テレビも映画も、一定数のファンを連れてきてくれるジャニーズのタレントは貴重な戦力。本人の不祥事ではないので、起用を控える動きにならないのでは」とみる。
 ただ経済界、芸能界の双方と取引のあるテレビ局には新たな対応を取る動きも。テレビ大阪は「社の行動規範として『人権の尊重』を定めており、人権重視の姿勢を求めることは取引先であっても同じ」として、今後の同事務所のタレント起用については「(事務所の)対応を見極めながら慎重に行う」とコメントした。