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若年性 早期診断・支援鍵に 県内7カ所に医療拠点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県によると65歳以上の要介護(要支援)認定者のうち、2022年に認知症と診断されたのは県内に5万3535人。国の推計では、県内の認知症高齢者は40年までに約8.8万人に増える見込みだ。一方、65歳未満の「若年性認知症」の支援体制は課題となっている。
 県は17年から県若年性認知症支援コーディネーターを設置している。担当の安次富麻紀さんによると、これまで支援した当事者は156人。相談件数は増加傾向にあり、22年度は累計2209件だった。
 体調の異変を感じてさまざまな診療科を回る人も多く、認知症と診断されるまで数年かかるケースもある。誰にも相談できず、仕事のミスが増えたことで職場から受診を勧められる事例が多いという。
 県認知症疾患医療センターは本島や宮古島、石垣島に計7カ所ある。安次富さんは若年性の人ほど同センターへの相談を勧める。加えて「地域のクリニックでも診断や福祉につなげる体制が必要だ」と課題を挙げる。
 診断後は患者の引きこもり状態を避けるため、支援者につながるまでの「空白期間」を短くすることが鍵となる。働き続ける意思があれば支援者が会社側と業務量を調整することもあるが、退職を迫られる事例もあるため、安次富さんは社会の理解の広がりを願う。
 もう1点、大事な点は企業などに在職中の受診という。在職中と退職後では障害年金等の受給額に差が出ることもある。症状によっては収入減が避けられないこともあるため、安次富さんは相談者に必ず伝えるようにしている。
 若年性認知症に関するアドバイスは毎週水曜午後2時半、FMぎのわんの番組「おれんじCafe」で発信している。同コーディネーターへの問い合わせは、新オレンジサポート室、電話098(943)4085。 (嘉陽拓也)