有料

がん患者 外見悩みケア 糸満市、補正具に助成 県内初、社会参加支援


がん患者 外見悩みケア 糸満市、補正具に助成 県内初、社会参加支援
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【糸満】糸満市は10月から、がん治療に伴う外見変化に悩む患者を支援する目的で、乳房補正具やウィッグなどの購入費を助成する「がん患者アピアランスケア支援事業」をスタートする。県内自治体では初めての取り組みで、2万円を上限に半額を助成する。10月の「乳がん月間」に合わせ、がん患者全般に周知を図りたい考えだ。
 半年間の事業費47万円を盛り込んだ市一般会計補正予算案が12日の市議会9月定例会本会議で、全会一致で可決された。
 アピアランスケアは、がん治療に伴う乳房切除や脱毛といった外見の変化による苦痛の軽減などを目指す。周囲に知られる不安を少なくして社会参加を支えるため、外見を補完して生活の質を高めることが課題となっている。こうした背景から、補正具の購入費助成は全国の自治体で広がっている。
 市内で乳がんに罹患(りかん)した人の数は45人(2019年、県調べ)。放射線治療や薬の投与に伴う脱毛はがん患者の22%が体験するとされ、市内の該当者数は約50人と推計される。市は本年度の事業の対象者を23人と想定し、次年度以降は倍の46人に拡大し継続する計画だ。
 市健康推進課の担当者は「乳がんにとどまらずがん患者全体への周知を医療機関とも連携して進め、県内の取り組みの先駆けとして理解を広げたい」と話した。
 対象は市内に在住し、がん治療を受けた人や受けている人。補正具を購入した日から1年以内の申請が必要。事業の詳細や申請法は今月25日、市ホームページで公表する。問い合わせは糸満市健康推進課(電話)098(840)8126。 (岩切美穂)