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県側「児相に違法性ない」 里親委託の解除訴訟 元里親夫妻側は調停に応じる意向


県側「児相に違法性ない」 里親委託の解除訴訟 元里親夫妻側は調停に応じる意向 沖縄県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 生後2カ月から5年以上養育していた児童の里親委託を2022年1月に児童相談所(児相)から解除された那覇市の元里親夫妻が、解除までの沖縄県側の対応が違法だったとして、県に計300万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が19日、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で開かれた。県側は児相の職務行為に違法性はないと主張した。閉廷後、夫妻側は8月、県側が提案している調停に応じる意向を示したと明かした。

 19日の弁論では県側が準備書面を陳述した。里親委託の延長に向けた書面案で「誘拐罪になりうる」と記載したことに、「(児童を)確実に引き取るために、このような文言を案文の中に入れる必要があった」と強調。その書面への署名を執拗(しつよう)に迫った事実はないと反論した。

 また児相が実母に虚偽の事実を伝え、里親委託の同意撤回に誘導した事実はないと否定。夫妻側が生みの親の存在を伝える「真実告知」を進めていなかったとして、「子どもに正しい情報を与える視点が欠落している」と指摘した。

 閉廷後、夫妻側の代理人弁護士は県側の主張に「(事実の)認識に相違がある。県側は自らに非がないとしか考えていない」と反発。夫妻は「真摯(しんし)に子どもに向き合ってほしい」と述べた。一方、児童との面会交流などを見据え、調停に応じていくとした。10月6日の進行協議で今後の方針を話し合う。